西早稲田キャンパスでは、研究・教育活動に伴って非常に多くの化学薬品が使用されています。身の安全に限らず、早稲田大学の一員として社会的な責務を果たすためにも、これら薬品の購入・使用・廃棄においては適切な管理に努めなくてはなりません。

毒物、劇物の区分と取り扱い

毒物・劇物は、毒物及び劇物取締法で規制が定められている薬品を指します。
薬事法の毒薬・劇毒とは分類が異なるので使い分けましょう。

毒物・劇物の保管に関しては、以下の事項を守るようにしてください。

  • 他の試薬とは別に、堅固で鍵付きの保管庫に保管する(盗難・紛失防止)
  • 使用量の記録をとる
  • 毒物・劇物の表示をする(小分けした場合も表示)
  • 危険物でもある場合は、混触に注意して保管する

危険物の区分と取り扱い

危険物は、消防法で規制が定められている薬品を指します。
化学的性質によって以下のような6種類に区分されており、保有倍数や混載などの保管上の注意を規定しています。

【区分表】

類別性質性質の概要物質例
第一類酸化性固体酸素を出して可燃物と反応し、爆発を起こす恐れのある固。・塩素酸ナトリウム
・過マンガン酸カリウム
・重クロム酸カリウム
第二類可燃性固体低温で引火、着火しやすい固体・硫黄
・鉄粉
第三類自然発火性物質及び
禁水性物質
空気または水と反応して発火する物質・ナトリウム
・水素化ナトリウム
第四類引火性液体引火しやすい液体・ジエチルエーテル
・アセトン
第五類自己反応性物質熱や衝撃で着火、燃焼、爆発を起こす恐れのある物質・ピクリン酸
・過酸化ベンゾイル
第六類酸化性液体可燃物と反応して、その燃焼を促進する液体・過塩素酸(60%)
・発煙硝酸

上表の区分において、火災などの危険性が高まる組み合わせは、同一の場所に保管することを禁じています。
具体的には、下表の組み合わせで×印が混載禁止に定められています。

【混載の可否】

1 類2 類3 類4 類5 類6 類
第一類————× × × ×
第二類 ×———— × ×
第三類 × × ———— × ×
第四類 ×———— ×
第五類 × × ———— ×
第六類 × × × ×————

薬品の購入・使用・廃棄の流れ

購入

毒物、毒物以外での購入方法の違い
管理コード(バーコード)
官公庁への届出が必要な薬品(麻薬、向精神薬、覚醒剤及びその原料、特定毒物)

保管

危険物の混載
毒物、劇物の保管
有機溶剤、特定化学物質の保管

使用

化学薬品全般に関わる注意事項
ドラフトチャンバーの扱い
転倒防止措置

廃棄

廃棄の手続き
廃液、廃棄物処理
試薬容器の廃棄

基本的には購入~廃棄までは上のフローの通りだが、購入手続きにおいて、毒劇物とそれ以外ではルートが若干異なるので、下を参照すること。

【毒劇物以外の薬品の場合】

作業注意事項
① 発注電話・FAX・メールなどで納入業者へ直接発注
② 納入情報の通知納入業者は納品前に、納入情報を薬品管理窓口にメール送付
③ バーコードラベル、バーコード割当表の準備薬品管理窓口担当者は、納入情報をCRIS登録し、薬品1本1本ごとに貼るバーコードラベルとバーコード割当表を準備
④ 納品確認納入業者は納品前に薬品管理窓口に立ち寄る
窓口担当者は納品書をもとに納品確認を行い、納品書に確認印を押印
⑤ バーコードラベル、バーコード割当表の納入業者受け取り納入業者はラベル・割当表を受け取る
⑥ 納品納入業者はラベル・割当表を添えて薬品使用箇所へ納品

【毒劇物の場合】

作業注意事項
①毒物の 発注電話・FAX・メールなどで納入業者へ直接発注
② 納入情報の通知納入業者は納品前に、納入情報を薬品管理窓口にメール送付
③ 「毒物登録用紙 兼 管理カード」発行毒物は業者から薬品使用箇所には直接納品されず、代わりに登録カードが届く
④ 「毒物登録用紙 兼 管理カード」記入毒物登録用紙に必要事項を記入する(担当教員の署名が必要)
⑤「毒物登録用紙」提出使用者は薬品管理窓口まで持参する
⑥ 毒物の受け取り使用者は毒物および毒物管理カードを受け取る

化学物質管理システム(CRIS)利用方法

早稲田大学では、化学物質をCRIS(Chemical Registration Information System)と呼ばれるデータベース上で管理しています。CRISを利用して、自身の研究室等での薬品・高圧ガスの保有量や消防法危険物の倍数を把握しておくことが大切です。CRISの使用方法は、環境保全センターのHPにてご案内しています。

【CRISトップ画面】

化学薬品を扱うための心得

大学での研究は先進的で多岐にわたっており、人の入れ替わりも頻繁です。どこにどのような危険が内在しているのか、その危険を未然に防ぐ手段など、日頃から安全に対する自覚を持つことが大切です。いくつか、好取り組み事例を紹介します。